
【写真】サテライト構想について記者と語る金村勲GM |
金村勲GM
サテライト構想を語る
10月18日に行なわれた運営推進懇話会において運営推進委員よりサテライト設置についての話題が上ったことを受け、懇話会終了後、金村勲GMより出席の報道陣に対し、現時点までの進捗状況等について説明があった。
【サテライト設置についての金村勲GM談話】
今日、ここ(運営推進懇話会の席上)で、公の場で話が出ましたし、サテライトについては(報道陣からも)いつも質問を受けている話題ですので…。
私どもとしては一つのプロ球団のシステム・構成として、トップチームを中心にして下部組織(ユース、ジュニアユース)を拡大するかどうかというのとはまた別
問題ですが、それについては一つの実績、形を作ってきたわけです。
ユースはユースなりのいろいろな理念はあるけれども、ここ数年、うちはユースからトップチームには秋葉勝選手(02年入団)以来上がっていないのが実情です。ジュニアユース(創設初年度のメンバー)が今年高校1年生になったので、3年後に突出した選手が出てくれば、そういう面
での目的が実現できます。「地元の選手をトップへ」というのが一つの願いですが、それについてはあと1、2年の時間的猶予をいただきたいと思います。
ここ数年は入団のハードルを上げてより高いレベルの選手がユースに入ってくるよう努力している中で、もう一つは中学生、できれば小学生段階から一貫して指導する中で上に上げていきたい。これはスポーツの理念として当然のことです。ジュニアユースも今年で4年目を迎えて高校1年生になった。高校3年生になれば、いい選手であればそういうこと(トップチームの公式戦出場)も可能になってくるわけで、ヴェルディの森本選手(第二種登録での出場)のような例もあるわけです。サッカーについては高校野球と違い門戸を広げているという特性があります。
まあ、それは置いておくとしても、高校生ユースでもJリーグデビューもできるんだということですから。そういう、いわゆる正論的な歩みをする努力を続けてきて、その途上にある。ジュニアユースの成果
はあと2年ぐらい待たなければならないというところです。
それはそれとして、これから第一に取り組んでいかなければならないけれども、もう一つ、「サテライト」というのはどうなんだということです。ターゲットはやはり高卒選手ですね。そういう選手で、時間的にも非常に短い時間でトップに上がれるサテライトにして欲しいというのがまず、われわれの第一の大きな願いであり、期待であるわけです。ですから当然、高校生でも他チームと競合するぐらいに非常にレベルの高い選手をうちはサテライトに迎えたい。競合するぐらいであれば、短期間でトップに上がる可能性も高いわけですしね。
ですから今、その辺の「どういうふうなサテライトを作るか」という、形ではなく、トップチームに早く短期間で上がれるような、そういう資質の高い選手をまずサテライトに迎えてトップに送り出すというのも大切なことだろうと考えています。
もう一つは、うちは今だいたい28人枠ぐらいでやっていますけれども、28人枠というのが十分かと言えば、(Jリーグの中で)少ない方から数えたほうが早いぐらいですよね。特に(アウェイなど)遠征などの場合は10人前後の選手が残り、練習をしていますけれども、やっぱり試合に勝る練習はないわけです。試合は最高の練習ですから。そういう、メンバー外の選手も常にサテライトリーグという試合で研鑽を積んでいけば、より資質を伸ばせるだろう、と。そこに大きな狙いがあるわけです。
現状では人数的には足りないもので、完全に「トップチーム」「サテライトチーム」という分け方は人数的にできないと思いますから、それを今、精査しているところです。練習は一緒にしながら、(トップが)アウェイの試合の時は別
行動になるわけで、その辺を効果的に使うには人数を少し増やしてチームを作れるようにしてやった方がいいわけです。
今も(練習生など)いい選手はどんどん、監督の裁量で入れていますけど、さらにモチベーションを高めていけるだろうと思います。日々の練習が大切なわけですから、そういう実践練習も含めた育成というものが必要だろうということで今、サテライト構想を真剣に検討しているというのは事実です。
ただ最終的にどういう形になるのかということについては、人数をどうするかとか、いろんなことを詰めなければいけませんし、コーチングスタッフの問題も出てくるでしょう。いろんな諸条件が整わないと、ただ「選手を集めました」だけでいいということではありません。極端に言えば、チームが一つ増えた時にどういった体制が必要なのかということも、現状でやれるのかスタッフを増やさなければならないのか、いろんな課題がありますが、諸課題がうまくクリアできれば、早ければ来年度からということを目指しているのは事実です。
――今までサテライトができなかったのはなぜでしょう?
特に理由はないですが、強いて言えば、30数名になるであろう選手構成に対する体力があるかというのが一番大きな問題だったでしょうね。メシ食わせないで入れとは言えません。プロとして扱わなきゃならないわけですから。サテライトリーグに参加するという一つのスタンスはあるけれども、日常の練習とかチーム構成というのは完全に区分するというものではありませんから、そうでなければ今の倍の人数が、倍までいかなくても1.5倍の人数が必要になってくるわけです。
そう考えた時に、資金的な体力でそれに応じられない、応じられなかったと言わざるを得ません。
今日(運営推進懇話会)の話にもありましたが、選手強化にどれだけ予算を注ぎ込めるか。理想としてはありますが、現実が優先するものです。その中でもやっぱり、自前の選手を育てる意味というのは、トップの枠を増やし、サテライトリーグにも参加し、より多くの中で切磋琢磨させるというメリットがあります。先ほども申した通
り、より即戦力に近い、非常に質の高い選手をまず狙っていきたいという一つの願いがあります。
もう一つは、ユースを今より高いレベルにということです。ユースの選手がサテライトに入るというのは可能ですからね。そういうふうなモチベーションを高めるということもあるでしょうし、いろいろなメリットがあるわけです。将来的にどうしていくかと考えた時に、ユースはどちらかと言うと県内中心の選手、第2のミスターモンテディオを地元から輩出しなければならないですし、それは地元の観客を呼び込むという重要な手段でもありますからね。他県の選手がダメだということではもちろんありませんが、やはり地域密着ということで地元選手がいるというのはチームの人気を高めるというのはこれは間違いのない事実ですから、そういうような狙いがあります。
――J1に上がるという一つのヤマを越えるためには、そのような改革が必要だということもあるのですか?
J1に上がるというようなことよりも、むしろうちのチーム経営をどのようにしていくかということです。そして現実のチーム力のステップアップを考えた時に、やはりサテライトリーグへの参加によるメリットは大きいだろうということです。
今、サテライトがない(Jリーグの)チームはうちを含めて4チームなんですね。あとは全部のチームがサテライトを持っている。それぞれの狙いがあるでしょうけど、うちとしては大型投資はできないけれど、現実の育成について、ユースとトップとの間の即戦力養成的なものの期待はできるだろう、と。そういう狙いからサテライトを立ち上げたいということでの本格的な検討に入っているということです。
――予算的なものが今の課題の中では一番大きいということですか?
そうですね。うちは「身の丈」という言葉を言っていますけれども、サテライトをやるのであれば、それはそれなりの予算を注ぎ込んでも立ち上げなければならないということで。来年の予算見込みが増収になるか減収になるかは、今のところ何とも言えない状況です。
――来年度の予算が出ないことには、まだ先には進めないと?
それもやはり、決定するための重要なポイントにはなるでしょうね。市町村合併で市町村の数も減りましたし、それぞれの補助金なども現状を維持できるかというような問題もあるわけです。そのまま現在いただいている額をお願いできるかという課題もあります。市町村合併がどんどん進んでいる中で、そういう数字的な動きも出てきます。
うちとしてはなんとか、現収入以上というような見込みができればなんとか踏み切りたいなという気持ちでおります。
――予算の試算は進んでいるのでしょうか?
そうですね、人件費+遠征費、それから環境整備など、いろいろなものがかかりますから。選手の人件費にどれぐらいまでかかるか。(サテライトの)試合数は年間で10試合程度ですからね、そのうちアウェイが半分です。
――そういうのも全部込みで、立ち上げにはどのぐらいかかるのでしょうか?
我々の試算と、ここでこうやってお答えする試算というのは違うと思いますので…。数千万かかることは間違いないです。
――選手枠はどれぐらいになるでしょうか?
それも極めて流動的だけど、30人プラスαぐらいはいないと。だいたい、16の倍数が一つの検討数値かなと思います。今の(公式戦の)エントリー数が16人ですから、その倍が目安の数字になるということになるのではないでしょうか。
今日、公の場(運営推進懇話会)で話が出ましたから、当然、終わった後にそういうご質問があるだろうと思って。
まだ確定はしていませんが、先にも申し上げたように、積極的に検討しているということは申し上げます。
――過去に例がなく「積極的に」ということですか?
そうですね。検討課題に対して「本格的に検討に入っている」という表現になると思います。当然、急がなければならないですよね、来季構想にもつながるわけですから。来季に間に合うようにするということであれば、遅くとも年内にはきちんとした方向性を出さないと来年には間に合わしません。時期的なものも迫っていると言えます。
言い訳がましいですが、作ることに対しては総論、誰でも賛成なんです。それを支える体力があるか……さっきも話に出ましたが「お金が大丈夫か」とか、いろんな問題があるわけです。そういうところを今、検討中です。本格的に議論をして、理事長も「よし、行こう」となった時に本格化します。
――ここ数年、最後の最後でトップチームが「勝ちきれない」ということに対するてこ入れの意味合いもありますか?
いや、それは、モチベーションとか内部競争という面では刺激になるかもしれませんが、「勝ちきれない」というものの要因はまた別
にあると思います。みなさんもよくお解りのように、得点力がないという問題があるわけでしょう。これはまた別
のレベルの問題です。サテライト、ユースというのは、次のチームを支える選手の育成の場というふうに考えています。
――「ユースの延長」というふうにも考えられますか?
ユースの延長というレベルではないと思います。やはり、その年に化ける可能性があるわけですから。ユースというのは、うちは中1から段階的に個性に合わせて育成しています。本来はユースもジュニアユースも3人コーチ体制+監督というものらしいのですが、うちの場合はちょっとまだできないので、1年生の発育発達に応じた練習内容と、ほぼ似たような身体能力の2・3年、この2つに分けてやっています。それが今度高校に行けばまたそうだし、中3でも能力のある子はユースの試合に出場させたり。そういう、内部的に非常に融通
の利くシステムなわけです。
同じようにユースが、さっき言ったヴェルディの森本選手のように、トップに一足飛びに行けるかもしれないですしね。だけれどもサテライトというのはもっとレベルの高いプロのチームですから、そこで研鑽させるという場面
もできるわけです。もう1段高いレベルで訓練できるというメリットがあるということですね。
――サテライトリーグはスタジアムのスタンドの規格がありません。そうするとサテライトリーグに参入の場合、全県開催ができるということになりますか?
これも若干条件があるのですが、1000円以下なら有料でも無料でもできます。(小真木原開催は)うちは当然狙っています。相手チームと話し合ってやるわけです、例えば相手が新潟なら庄内で開催するとか。来季はどうなるかわかりませんが、(サテライトリーグは)6チームぐらいずつブロックを作ってやるわけです。おそらく、関東以北のチームで組むことになるでしょう。
全県をホームタウンと謳っているのですから、それ(全県開催)は切なる願いです。どの程度のスタジアム規模でやれるのかは、今調査中です。
――コーチ陣はどのようになるでしょう?
その辺も、どういうふうにするかはまだ現場とも全然話をしていない部分もあります。
――増員ということも?
それも先ほどから申し上げている通り、運営するには今のスタッフを増やさなければならないかどうか、やはり現場の声も聞かなければなりません。と同時に、それに応じられるかどうかという問題もあります。その辺はまだ「諸課題」として未定です。今はまだ、企画書を出せと言われたら出せる状況ではありません。諸課題を詰めている状況です。でも「早い時期=来季」に向けて、全力で検討しているということです。
「決定」と言われるのは困ります。現場の、監督の考えなども今からヒアリングしなければなりませんし、そういうことからスタッフの問題も出てくるわけです。人数の問題等、内部的な課題も含めいろんなことを今から検討しなければなりません。
今日の時点では、「モンテディオ山形 サテライトリーグ立ち上げに本腰」ぐらいのところで表現してもらえればいいのではないでしょうか。
――J1に昇格すれば、サテライトリーグ参入は必須条件?
今はJ1は18チーム全てサテライトを持っていますが、必須というわけではありません。ただ、「形の上で作る」という意味ではなくて、私どもは、実質的な効率的な育成をどうするかという観点でやっているというということで、そこが他チームとはちょっと違うところです。ユースであれば3年かかるんだけど、サテライトなら1年で化ける可能性がある。もう1つは、サテライトである程度の人数の枠が出来れば、ユースのいい子をそこに参画させて、県内の子どもたちに夢を与えるという意味合いもあります。
――J1に上がるからということではなくて、チーム力のステップアップということでしょうか?
そうです。我々の経営の一つの方針としてやるということです。■
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