【写真】芝の全面張り替えを終えたベスパ陸上競技場


【写真】冬枯れした掲揚台手前の芝と較べ、ピッチの芝は緑色が見える。茶色がかっているのは上から砂を撒いたため


【写真】芝が根付くまで、立ち入り禁止ですよ


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「4月にお目に掛かります」
ペスパの芝、変身中

 福岡との最終節があったわずか2日後、11月29日に始まった作業は、クリスマスの12月25日に終わったばかり。天候に恵まれたことで、作業は順調に進んだ。生まれて初めての“大改修”を終えたべにばなスポーツパーク陸上競技場の芝は、3ヶ月後に響くだろう大歓声を心待ちにしながら新しい年を迎えようとしていた。

 ベスパ陸上競技場の芝を全面的に張り替えるのは、91年に陸上競技場が完成して以来、今回が初めてとなる。競技中に芝が削り取られた場所には砂を撒いて補修するが、それが10数年間続いたことで、フィールド内の高低差がしだいに大きくなり、国際大会も開催できる「日本陸連第1種公認」の条件をクリアすることが難しくなってきたため、今回の「大改造」となった。

 作業は芝を取り外すところから始まった。芝は再利用されるため、専用の機械を使い、30センチ四方の大きさに1ブロックずつ取り外すと、7500個分のブロックになった。ひととおり芝を取り除いた後は、高くなった部分の土を削って高さを一定にそろえ、土壌改良材を混ぜたその上から1メートル四方の芝の絨毯を隙間なくきっちりと敷き詰める。芝は関東以北では今や主流の「寒地用西洋芝」。冬期間も枯れることなく鮮やかな緑色を見せるが、その代わりに、高温多湿に弱く夏場の管理には神経を使う種類でもある。日本在来種を使った聖火台前の芝は対称的に茶色く枯れた色を見せている。最後に一面 に砂を撒いてひとまず完了。3月いっぱいまでは一切の競技を行なわず、状況を見守りながら育成に専念する。

 6ヶ月ほどの余裕があれば、種を撒くところから生育させるのが本来のやり方だが、04年の最終節から05年最初のホームゲームまでは4ヶ月足らず。モンテディオ山形は県内にJ2の試合基準を満たす代替施設がないことから、可能な限り4月以降のホームゲーム開催を目処に急ピッチで進められた。

 バックスタンドの向こうには、雪に覆われわずかに青い部分を残す奥羽山脈の山並みが見えている。最終44節まで昇格争いを続けた熱気はすでになく、スタジアムは冷たい空気に包まれていた。こんな中でも、地味で目には見えないが、芝はしっかりと根を張り続ける。
 4月、ここで出会うモンテディオもきっと…。

 


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