「モンテがなかったら、こんなに頻繁に来てくれなかっただろうなあ」
村上英樹さん・加納美樹さん インタビュー


――大学でお知り合いになったそうですが、学部が一緒だったんですか?
英樹 いえ、サークルが一緒だったんです。
――なんのサークルですか?
美樹 うふふふふ(笑)…、手品のサークルです(笑)。
――「奇術愛好会」ですかっ!
英樹 そうです。
美樹 卒業してからは足を洗いました(笑)。
――その時は、サークル仲間の一人としてお互い見ていた、と?
美樹 まったくもってこんな気はなかったんです。
――で、2002年に友人の結婚式で会って、その年の秋からお付き合いを始めたそうですが、その結婚式はいつでしたか?
英樹 6月です。
――そこから連絡を取ったわけですね? そこで久しぶりに会ったんですか?
美樹 仲間内の結婚式が続いたので、年に2回くらいは会ってたかなあ?
――でもその時は何事もなく(笑)、2002年6月の結婚式で会って、秋からお付き合いという流れですね?
2人 そうです。
――どうしておつき合いしようと思ったんですか?
美樹 ……なんででしょうね?(笑)
英樹 ちょうどたまたま、お互い暇だったし、彼氏・彼女がいないし…。
美樹 お互い知ってたし、なんか楽だなあ〜っていう…(笑)。飾らなくていいから。
――ご結婚を決められたのはいつだったんですか?
英樹 (03年)10月の末頃ですね。
美樹 大学のサークルの友達には、ずっと黙ってたんですよ。びっくりさせようと思って。だから、気づかれなかったね。
英樹 いきなり招待状を送ったんですよ。反響は、かなり……
美樹 「どういうことだぁ!」って(笑)

――美樹さんがお友達とモンテディオの試合を観ていて、その後に英樹さんを誘ったそうですけど、美樹さんがモンテディオの試合を観に行くようになったのはどうしてですか?
美樹 最初は全然興味がなくって、ワールドカップがきっかけかな? 「うちの近くに立派なスタジアムがあるのに、なんで今まで観に行かなかったんだろうな」って後悔したところがあって、ワールドカップが終わってから、……あれは水戸戦だったかな? (9月7日・第29節) たまたま水戸戦のチラシを見て、「暇だから行ってみよう」って、仲のいい友達と3人で行ったら、一番激しいサポーターの真ん中に同級生を発見して、「そんなとこで応援してちゃダメだ。こっちへ来い!」って言われてズルズル引っ張っていかれて、そこで混ざって応援しながら観てたのがすごく楽しくって。そこからハマったんですね。
――初観戦の水戸戦の内容は憶えていらっしゃいますか?
美樹 みんなについて行くのがやっとって感じで、内容までは憶えてないですね。「負けた」ってだけで(笑)。その時は、ルールもあまりわかってなかったんですよ、ハンドぐらいしか(笑)。「なんで今のダメなの? なんでダメなの?」って聞いて。選手もわからなかったんで、「○番は誰? 今の誰?」って、友達から「うるさい!」って言われながら。聞きながらついていくのが精一杯。でも、それが楽しかった。で、「おもしろいから行く?」って(英樹さんを)誘って。その後からつき合い始めました。
英樹 小学校の頃からサッカーをずっとやってたんですよ。代表がずっと好きで、代表の試合は観に行ってました。栃木に住んでるものですから、周りにJのチームがあることはあるんですけど、県内にはないんですよね。Jリーグをたまたまあちこち観に行ってたので、(美樹さんに誘われて)試合を観にきた時に、これだけ地元に密着したものがあるんだと知って。そこからですね。
――英樹さんはもともと栃木の方なんですか?
英樹 そうですね。
――で、大学で山形に来て、栃木に戻って。
英樹 そうです。
――モンテディオにハマってからは、やっぱり毎試合来てるんですか?
英樹 水曜日開催の時はさすがに行けないんですけど、それ以外ではだいたい来てますね。
美樹 モンテがなかったら、続かなかったかなあって。こんなに頻繁に来てくれなかっただろうなあって。
――ずっと遠距離で、会う機会も少なかった、と。
英樹 そうですね。どっちに来てるのかわかんなくなっちゃった時がなかったか?(笑)
美樹 モンテに合わせて。
英樹 「今週試合がないから行かない。来週行くわ」(笑)
――「モンテと私と、どっちが好きなのっ?」みたいな感じですね(笑)。せっかくの休みの時間をモンテディオに使っているわけじゃないですか。その辺はどんなふうに思ってたんですか?
英樹 でも、楽しいですから、時間を潰されるっていう感じではなくて、楽しみに来てますから。でも、私たちが観始めた頃っていうのはチーム状態がよくなかった時で、2003年の…何試合目? 鳥栖戦(4月19日)がその年の初勝利で、それが私にとっての初勝利でした。半年ぐらい勝利を見てなかったんですよね(笑)。でも、勝ったから楽しい、負けたから悔しいっていうのも確かにありますけど、実際に応援してるってだけでも楽しいので、大宮とか横浜にも行きますけど、サッカーの試合プラスどこかにデートしてくるっていうのが、すごく楽しいですね。試合があるからそこに行って、周辺を調べて寄ってくるっていう感じです。
――ちなみに、ここから栃木のお住まいまでは時間はどれくらいですか?
英樹 高速使って、2時間半から3時間ぐらいですね。山形北から乗って那須で下りて、そこから少し時間が掛かるんですけど、毎回高速だとお金がもったいないので、休みをとれる時は休みをとって、下道で帰って。それだと6時間くらいですかね。
――毎試合山形まで往復だと、お金も相当かかりますよね。
美樹 かかってるんでしょうけど…
英樹 別に、かかってる感じがしないですね。
美樹 この楽しさに較べれば、大した金額じゃないのかな、と。楽しさのほうが大きいかなあっていう感じなんだろうね?
英樹 確かに、ガソリン代、高速代の部分でかかるのはかかりますけど、ここに来て、会いに来て…。だから、ふだんかかってる感じしないですね。まあ、実際にはかかってるんでしょうけども。
――美樹さんが栃木に行ってからも、山形のホームゲームには…
英樹 来ますね(笑)。今度逆に2人で水戸とか大宮、横浜、川崎の辺りはすごく行きやすくなるので。あと、こっち(山形)に来るのは当然来るでしょうから。今度は高速代2人で。移動代が安くなるので。
美樹 周りの人たちからも、「始球式までしてもらって、結婚してから一つも来ないなんて言ってられないよ!」って(笑)。
英樹 「あいつら見なくなったねえ。やるだけやってもらって」(笑)

――いつもどの辺で応援しているんですか?
英樹 バックスタンドの、クラージュの方々がワンブロックいらっしゃって、その脇の辺りに。彼女が星選手のゲートフラッグを作って、毎回揚げてるんですよ。
――どんなフラッグですか?
美樹 モンテストライブで、中央に星形をどんと描いただけなんですけど。
――星選手のファンなんですか?
美樹 そうですね。作ったばっかりの頃、出待ちしてサインを描いてもらったんです。19番の時代に。
英樹 毎回、同じ場所なんですよね、観る場所が。そうすると、前にいる人も後ろにいる人も一緒だし。
美樹 みんなわかってて、バックスタンドまで行くと「こっちだよ〜!」って(笑)、席を取っててくれるんです。
英樹 今日(4/24)もいつも周辺にいる方々が、夜お祝いをしてくれるってことなのですけど、私らは詳細を聞かされてないんですよ。去年の最終戦と、今年のホーム開幕戦の時も同じように飲んで。
美樹 お互い携帯の番号も知らなければ、何の仕事をしている人かもわからないんだけど、とりあえず集まって、「じゃあ、今日は飲みに行くよ」って。
英樹 「はい」(笑)。
――あ、大事なことを聞き忘れた。結婚しようと思ったのはなぜですか?
美樹 うふふふ。
英樹 なんででしょうね?
美樹 もう、つき合う時点でなんとなく、そんな気はしてたような気はするけど。
英樹 だね。お互いいい歳だしね。でも、一緒にいて、言葉は悪いですけど、楽なんですよね。自然体でいられるから、その点が自分には合ってるのかなあ、と思ってますね。
美樹 つき合い始めた当時は、今から出会いを求めて、そこから女の子らしい自分を作ったりとか、そういうことをする気にならなかったという……ごめんな(笑)。飾らない、無理してない自分をそのまんま受け止めてくれる人がいいなあ、と思ってたところがあったので、その人がたまたま、昔から知ってた人だった、そんな感じかな?
英樹 あまり変わってないよね、友達の時とつき合ってからがそんなに変わってないので。
――いいですねえ。けんかとかもしない感じですよね。
英樹 あまりしないですね。
美樹 してるよ。
英樹 してる? あ、そう?(笑) けんかと思ってないだけかもしれない(笑)。


さて、始球式を終えてみて、2人はどのように感じたのでしょうか? 4月29日、甲府戦の試合後に改めてお話を伺いました。

――始球式を終えてみて、感想をお聞きしたいんですけど?
英樹 まず、協会の方がいろいろしてくれたのがすごくうれしかったですし、それに向けてサポーターの方に協力していただいて、こうやって実現できたのが、本当にうれしいことですね。この協力がなかったら、多分実現しなかったと思うんですよね。たまたま飲み会の時にそういう話をして、かなり動いていただいた部分があって。
美樹 偶然の出会いに恵まれて。たまたま同じところで応援してて、その応援している人の知り合いがたまたま飲み会に来てて…。
英樹 サポーターの方の協力があって、私たちがそれに乗せてもらったような。あの出会いがなかったら、こういうふうにはできなかったですし、そういった意味でも感謝してます。こうやってモンテディオから広がる出会いがあって、ただ1回か2回会った我々のためにかなり動いてくれたので、本当にそういった意味では感謝しています。こういった出会いがあって、モンテがあってこういう出会いが広がって、またそういった輪が広がっていくとうれしいかなと思います。
美樹 今日もね、前回用事があって来れなかったという、一緒に応援している人が「なんでやねん! なんで俺がいない時にしたんだー!」って言われたけど(笑)、改めて祝福されてうれしかったし。当日頭に着けてたティアラは、横断幕を作った方と同じ方からいただいたり、毎試合来ている75歳の方がいるんですけど、その方からは終わった後に「おめでとう」って手作りのペンダントをいただいたんです。「よかったら着けて」って。
英樹 ホームバージョンとアウェイバージョンがあるんです。片面 が青に黄色のハート、もう片方が黄色に青いハート。
美樹 みんなからね、気持ちがうれしいよね。
英樹 うれしいね。
美樹 出会いに感謝して。これほどみんなの好意に感激したことって、今までなかったんですよね。
英樹 横断幕見て泣きそうになったもんね(笑)。メインスタンドにはサポーターの方が作ってくれた横断幕があって、バックスタンドにもう一つ、友人が作ってくれたものがありました。
美樹 サポーターの方の横断幕は、前日に「名前の漢字、これで間違いないよね?」って電話が来たので知ってたんですけど、(バックスタンドの)白いほうの友達のほうは全然知らされてなくて。その作ってくれた友達が、当日12時半にベスパで待ち合わせしてたんですけど、「12時半まで今日行けそうにない。ごめんね」って電話が来て。「1時までは行くから」って言って。そうしたら、横断幕作ってて遅くなっちゃったんですね。
英樹 サポーター席のほうにあいさつに行って戻ってきて、メインスタンドに横断幕があって、エスコートKIDSの子どもたちに「おめでとう」って言われたのと、ユースの方々とか、山形北高チアリーダーの方にも「おめでとう」って。あれはちょっとうれしかったね(笑)。本音を言えば、あそこで一緒に写 真を撮りたかった(笑)。
――それは美樹さんに遠慮して撮らなかったんですか?(笑)
英樹 いえいえいえ、なんか入っていけないなあと思って(笑)。でも、うれしかったですよね。会うたび会うたびにみんなが祝福してくれて。ほんとうに、こうやって動いてくれたサポーターの方々、協会の方々、スタッフの皆様方に本当によくしてもらったなと思います。流れ的にも気を遣っていただいて、最初は始球式だけだったのが、今度は「写 真撮っていいよ」とか、試合球にサインしてそれをいただいたんですよ。選手がシャワーを浴びてバスに乗るところで協会スタッフの仁木さんがサインをもらってくれて、最後にそれをいただいたんですよね。家宝だね。
美樹 ね。その場で書いてくれたんだもんね。選手のみなさんからもやさしくしてもらって、ほんとに。
英樹 桜井選手は試合前の撮影の時に「こっちこっち」って列の中へ入れてくれたし。
美樹 試合が終わった後は太田選手がね。私たち出しゃばって行っちゃいけないかなあって思って、ミックスゾーンの隅っこにいたんですけど、太田選手のほうからこっちに来てくださって、「おめでとうございます」って。で、アイシングしてるほうの右手で握手してくれたんです。
英樹 試合が終わった後に、ナナ・ビーンズでお祝いの飲み会があったんですよね。いつも応援している方々とか、いろいろ動いてくれた方いろいろいらっしゃって、そこでハート型の色紙にモンテディオのステッカーを貼って、そこにメッセージを書いてもらって、20枚くらい。たまたま川崎のサポーターも来てたんですよ。その人たちも混ぜて一緒に写 真撮って。
――やってみて、本当によかったんじやないですか?
英樹 本当に。一生残ることですし、今回チームの方やサポーターのみなさんがいろいろ働いてくれたっていうことで、次に誰かがやる時は私たちが応援しよう、とか、チームを応援しようという気持ちがさらに強くなりました。
――今後もそういう人が出てくるでしょうね。
英樹 出てきて欲しいですね。若い人いっぱいいるし、1回私たちが前例をつくっちゃえばやってくれる人が出てくるだろうし、たとえ今年でなくても、来年とか再来年とかでそう思ってやってくれる人たちが出たら、今回よりはやりやすいのかなあと思います。今日もいつものバックで応援してた時も、「ああ、あそこでやってたんだよなあ」「あっちからみたらこんな感じだったんだよなあ」って。本当にいい経験させてもらったね。
美樹 ね。あとは、マッチデー・プログラムにも紹介していただいてたので、それと会員募集のチラシを式の当日、席次表と一緒に渡そうかって。
英樹 横断幕ともらったボールも会場に飾る予定です。

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