2004.10.10 第84回天皇杯全日本サッカー選手権大会 3回戦
モンテディオ山形 3-2 FC琉球
前半1-2 後半1-0 延長前半1-0
入場者数:2.414人
得点者:14'高地(琉球)、20'関(琉球)、
38'梅田(山形)、58'宮沢(山形)、92'宮沢(山形)

 3回戦にして天皇杯初登場となるモンテディオは、2トップに梅田、松田を起用。ピッチに大島のいない公式戦を今シーズン初めて経験することになった。

 1回戦から勝ち上がってきた沖縄県代表のFC琉球のシステムは3−4−3。ただし、守備の時間帯では両サイドバックがしっかり引いて5バックに、さらにラインの前にはボランチの望月がしっかりとカバーに付き、定石通 りのカウンター狙いの戦術で臨んできた。

 モンテディオは立ち上がりから何度かシュートシーンがあったが決めきれず、逆に琉球に先制を許す。
 12分に星が負傷して担架で運び出され、急遽秋葉を投入するまでの一人少ない時間帯。前半14分、左隅を陥れた琉球が中央よりに位 置していたフットサル日本代表、MFリカルド・比嘉がボールを受ける。と同時に、比嘉と目を合わせた高地が右サイドから斜めに走り込み、モンテディオの最終ラインを一気に突破すると、裏で受けたボールを左足で振り抜き、ゴール右隅にシュート。

 この失点で、モンテディオは両サイドが積極的に攻め上がるが、逆にディフェンスはなかなか落ち着かず、そこを突かれる形で再びピンチを迎える。
 フィールドの中央まで下がってきたFW高地から左サイドのMF佐藤へパス。ここで対応するはずの迫井が足を滑らせたことで、完全にフリーとなった佐藤が中へ切り込んだところでクロスを入れると、あとはファーサイドで関が右のインサイドで合わせるだけ。
 前半の早い時間帯で2−0とリードされる苦しい展開となった。

 相手の厚い守備網で、ポストプレーからの効果的な攻撃になかなか結びつけることができないモンテディオと対称的に、琉球はその後もモンテディオ陣内のルーズボールにいち早く飛びついてチャンスを作る。36分にはまたも比嘉のスルーパスでひやりとする場面 があった。
 しかしその直後、琉球のリベロ、イトウに対して梅田がプレッシング。うまく左サイドへ誘いこんでボールを奪うと、宮沢からの縦パスがオーバーラップした内山へ。そこから入れたクロスが、ゴール前正面 で高さを活かした梅田のヘディングシュートへとつながった。
 その後も梅田のプレスから高い位置でボールを奪い、左サイドからクロスをれるシーンが続いたが、41分に松田のシュートは惜しくもゴール右へそれ、ロスタイムにもファーポストギリギリに飛んできた宮沢のクロスに松田が足を出すものの、これも惜しくもサイドネットを揺らすにとどまった。

 後半に入り、琉球は3トップの一角を藤吉信次にスイッチ。しかし、やや運動量 が落ちてきた琉球に対して、モンテディオは普段通りの「人も動き、ボールも動く」プレースタイルを徐々に取り戻す。秋葉も前を向くプレーでゴール前への圧力を強めていった。
 そうした流れの中、後半13分に、右から梅田がミドルシュートを放つ。キーパーがクリアしたボールがちょうど宮沢の前へ飛んできた。胸でトラップして落とした後、ペナルティーボックスの外からというやや遠い位 置からではあったが、左足を水平に振り抜いたシュートはそのままゴールネットをとらえた。
 試合はその後もモンテディオのペースで進むが、ゴール前で決めきれず、Vゴール方式の延長戦へ突入。  
 その延長前半、右サイドのスペースでボールを受けた林がドリブルで突破しながらゴール前へクロス。中央には梅田もいたが、ヘディングシュートを決めたのはまたも宮沢。
 今シーズン初めて体験する延長戦を、わずか2分で切り抜け、ようやく4回戦進出を決めた。



■梅田 直哉 選手
 (だいぶ苦戦しましたが?)はい、見ての通り。
 (松田選手との2トップについて)「2人で点を取って勝とう」ということは言ってました。(役割分担について)ポストは状況、状況によって、ポジションで近い人が下りたり、流れたり、そこはお互い意識しながらやりました。
 (1点目について)ボールが来たからヘディングして入った、という感じで、特に相手のディフェンスに対して意識はなかったです。キーパーまでは見てなかったですけど、コースに流し込もう、という感じでいきました。
 (得点シーンは梅田選手が相手ディフェンスを追い込んだところからの流れで取れたが?)得点差があったし、こっちが引いて守ってもしょうがなかったので、前からディフェンスして。相手もフリーでボールを持たせるとうまいので、前からプレスを掛けていこうというのは前半のうちから決めてたので、そこでミスを誘えたのかなあと思います。
 (ホームで初得点は特別なものか?)いや、全然。苦戦して勝つよりは楽なゲーム展開にしたかったんですけど、先に点を取られるという形はよくないなあと思います。
 延長戦の前は、相手に得点チャンスを与えないで、後半のいい流れのまま延長に入って、早い時間帯で決めたいなと思ってました。
 大宮戦は、あと7試合のうちの1試合なので、そんな意識せずに、自分たちのプレーをすれば結果 はついてくると思います。

■宮沢 克行 選手

 (得点について)たぶん左から流れて右に行って、クリアしたボールが僕に来たんですけど、その時に相手が左から身体を寄せたので、僕はその瞬間に左に胸トラップしました。いいところにボールを置けたので、あとはバウンドのタイミングだけでした。あとはコースが空いていたので。どちらかと言うと軽く振り抜いたぐらいでしたね。僕の1点目はチームにとっては同点のシュートだったので、次を狙わないとなという感じで、あまり大袈裟な喜びはできなかったです。
 延長戦になる前に、僕自身にもチャンスがありましたし、そういうところは決めたいなと思っていました。やるからには、やっぱりお客さんも勝ちを観に来ているわけですし、プロのプレーヤーとして結果 を残さないと、という気持ちで頑張りました。
 勝つために、昇格するために(山形に)来ていると思っているので、その中で勝ちに繋がるプレーをしたいです。例えば、それが得点だったりアシストだったりするかもしれませんけど、トータル的に自分のプレーをして、1つでもチームのレベルアップに繋がる力になればいいなと思います。
 僕は星とは違ってドリブルで抜いて、1対1をどんどん仕掛けるというタイプではないので、うまくトシ(内山)やフォワード、ボランチを使って自分も活きながら人も活かしていきたいです。今日もセンタリングをトシが上げていたり僕が上げていたりしましたけど、そういった意味の崩しを左サイドをしていきたいと思います。
 今日は、大宮がディフェンスを4枚きっちり揃えてきて、ディフェンスとミッドフィルダーの間が空くので、そこでもらって仕掛けてターンしてシュート、というイメージを僕の中でチャレンジしてみようと思っていました。その前にも監督からは積極的にシュートを狙っていけというのは言われているので、それをリーグ戦で出さないといけないと思います。シュートを打たないと得点は生まれないので。どうしてもスルーパスを狙うのが好きだからそっちになっちゃうんですよね。


■桜井 繁 選手
 (手こずった点などは?)今日は切り替えとか、ちょっとみんな遅かった部分があったと思うので、そういうところで一人一人の意識だと思いますね。いつも通 りミーティングをしっかりして、相手の特徴とかも分析はしました。みんなしっかり準備してやったと思うんですけど、結果 的に2点取られてしまいました。相手も上手かったです。簡単に勝てる相手ではないなとは思っていたし、どのチームとやる時でもそうなんですけど、毎年天皇杯で苦戦しているので、もうちょっと楽に勝てるようにしたいですね。3年連続、初戦ですごく苦しんでいるので、ちょっと休ませてほしいです、はい(笑)。やっぱり、下のチームとやるというのはこういう難しさがあるというのは分かっていたんですけど、とりあえず結果 が出せたので次に向けてちゃんと修正したいなと思います。
 (ディフェンスラインとの連携の面は?)それは別に悪くないと思うんですけど、自分達のミスから失点していることが結構多いので、その辺をもう一回練習で確認して。最近いつも失点しているので、0にこだわって練習からやりたいと思います。
 全部大切な試合ですけど、次の大宮戦もすごく大切な試合だと思います。でも、あまり意識することなく、いつも通 りやりたいと思います。


■小林 久晃 選手
 (前半に2点を追う形になったが?)結構ちゃんと崩されて(苦笑)取られたので、うちらは攻めるしかなかったです。時間帯が早かった分、そんなに慌てるということも無かったです。前半のうちに1点取りかえしておいて良かったなと思いました。
 1点目の失点に関してはしっかり引いて守っていて、ペナルティーエリアの中に上手く2列目の選手が入ってたんだと思います。それにしっかり逆サイドが見えている選手が「付いていけ」ということを、もうちょとコーチングしてやってかないとああいうことが起きるんで、そこは修正しなきゃいけないところです。星が怪我で抜けている時だったんですけど、心理的な問題はそんなになかったです。あの時は、右サイドが抜けた穴をFWの選手に埋めさせなきゃいけなかったんですけど、「一人下がれ!」とは声で伝えたんですが、具体的な指示が出せなかったです。ただ、トップの選手だから、下げちゃってもなかなかそこで仕事をこなすのも難しかったと思います。今日はたまたま一人味方が少ない状況で取られてしまったわけで、それが(FWが下がらなかったことが)原因じゃないです。
 (相手選手をマークする際の迫井選手とのコミュニケーションは上手くいったか?)相手チームの左サイドの選手が結構前の方に張ってきたので、そこにガチガチ付いちゃうと中が空いちゃうし、ちょっと難しいところなんです。あれはしょうがないかなという感じです。
 右サイドの守備に関しては、負けている状況だったので、中盤の右サイドの選手がそんなに引いていたらやっぱり攻撃にならないので、その辺はちょっとリスクは冒していたんですけど、ある程度(クロスを)上げられてもレオ(レオナルド)と自分がいれば高いボールに関しては大丈夫だと思っています。
 ハーフタイム時、監督からディフェンスはこのままで、もうちょっとコンパクトに保つようにと言われました。
 今日は天皇杯ということで、相手はいつものリーグ戦と違ってプロチームじゃなかったんですが、自分たちはいつも通 りのことをやろうとは思っても、相手はチャレンジャーということでどんどん攻めてくるので、人間だから、そういう点ではやり辛さっていうのはありました。ただ、運動量 は絶対に落ちてくるだろうということは分かっていたので、そんなに焦りとかはありませんでした。普通 にやっていたら追いつけるんだろうなとは、多分みんな思っていたと思います。それで焦ってやってもいい内容にはならないし。まだ時間があったので、いつも通 りのことをやろうと試合中はみんなで話していました。


■内山 俊彦 選手
 気持ちをしっかり入れて戦ったんですけど、…よくあることです。やっぱり、ここまで来たら簡単には勝てないので、自力の差はあるけど、サッカーでは2回のチャンスを入れられる事はよくある事です。それでも、前半の内に1点取ったのというが大きかったと思います。前半のうちに1点取れたので、後半に1点取れば追いつけるという事で、気持ちの面 でも楽だったと思います。前半は、相手も技術がある選手がたくさんいるんですけど、後半になったら体力的にもやっぱり落ちてくるので、1点差なら大丈夫だと思ったんです。
 (1点目のアシストについて)いろんなボールを入れていこうと思っていました。ミーティングでも言われていて、工夫してやっていかないと相手はベタベタに引いてくるので。あれ(アシストになったプレー)はちょっと下げ気味で上げたんです。他にも横パスを入れていったり、いろいろ工夫してやりました。
 (失点について)1回守って、その後にセカンドボールを拾われて、ということだと思います。セカンドボールを拾われて、マークをつけきらないうちに、いいボールが入って、という感じですね。
 (モチベーション的な難しさは?)やっぱり、そういうのを気を付けて全員でしっかり入っていこう、ということだったんですけど、こういうトーナメント戦で下のカテゴリーのところと試合をすると、こういう事が起こりうるという事です。相手は何も失うものがないですし。でも、結果 を出せて良かったです。


■大塚 真司 選手
 (カップ戦の難しさはあったか?)難しいか分からないですけど、今までリーグ戦を戦ってきて、ここにきていきなり天皇杯というカップ戦が入ったわけで、気持ちの持って行き方ではちょっと難しい部分はありました。でも集中してしっかり同じようにやろうという気持ちで入りました。
 (FC琉球の分析はしっかりやったか?)はい、今までのリーグ戦と同じく、しっかりビデオをみんなで見て分析してやったつもりでしたけれども、うまく崩されて2失点してしまいましたね。しっかり自分たちが前半は戦えなかったということで、あの2失点というのは反省点ですね。前線からプレスに行って、立ち上がりはすごく良かったんですけど、ちょっと落ち着いてしまって、そのプレスが続けられなくなってしまって、中途半端にプレスを掛けている状態で相手にいいプレーをさせてしまいました。そこはもっともっと積極的に前から行ってプレスを掛ければ相手が嫌がったんじゃないかと思うんですけど、ちょっと感じも良かっただけに全体で落ち着いてしまって、そこからちょっと流れを悪くしてしまいました。
 (セカンドボールがなかなか拾えなかった?)一人一人が取られた後、取った後にもっともっと労を惜しまず積極的にプレーをしていれば、もっと楽な展開になったんじゃないかと思います。
 (移籍後初得点の宮沢選手には何か声をかけた?)声というか、普通にからかいました(笑)。何点でも点を取ってくれる選手だと思うので、これからも助けてもらいたいですね。
 (大宮戦に向けて)今まで通り、この1週間の練習を大事にして、その練習でやったことを試合で出していきたいです。特別 に何かするんじゃなくて今まで通り、同じ気持ち、同じスタイルで山形らしく戦いたいと思います。


■永井 篤志 選手
 相手もそんなに弱くなかったし、きついかなあと前半は思いました。後半は(相手が)体力もなくなってきて全然動けなくなってたので、自分たちのペースになりました。
 前半の一番最初のところで決めるところを決めれなかったっていうのが一番です。そこで決めてたら流れも変わってたし、そこで逆にカウンターで1点入れられてちょっとおかしくなっちゃって、そのままズルズルいっちゃった、みたいな感じです。最初に点を取れれば一番よかったと思います。
 延長戦はすぐに終わってよかったです。とりあえず、天皇杯はこんなものですよ。何にしても、1回戦とか最初の試合は簡単に勝てないです。
 (大宮戦に向けて)あと1週間なので、十分に体調管理をして、勝てるように頑張ります。


■秋葉 勝 選手
 (前半早い時間帯での交代で)怪我での交代ということで入ったので、ちょっと準備不足のところはあったんですけど、自分の役割をちゃんと確認して入ったつもりです。まだ試合が始まって15分ぐらいしか経ってなかったんですけど、いつも通 りっていうか、そこ(星の位置)に入れっていうことは指示されました。
 (入る直前に失点したが?)用意してて見てなかったんですけど、1点取られたというのは確認しました。  後半は相手が疲れてきてラインが下がってきたので、僕が飛び出せばフォワードの人もボールをもらいやすいかなと思いました。それが僕の持ち味でもあるので、それを出していこうとプレーしました。
 いつもと相手が違うので難しい試合になるということはみんなわかっていたので、みんな真剣にいったと思います。2点取られましたけど、そこで切り替えて1点取って、その後に追いついたのはよかったと思います。
 大宮戦まであと1週間あるので、いい準備をして臨みたいです。


■松田 正俊 選手
 (リーグ戦途中でのカップ戦の難しさはあるか?)そういうつもりはなかったし、みんなも思っていなかったと思うんですけど、最初、10人の時に1点入れられて、その後ちょっとリズムが狂っちゃったかなと思いました。でもとりあえず、トーナメントですし勝たないと先がないので、勝ったことは良しとして。最初はちょっとボールを回されていたので、結構、ボランチのところとか、僕と梅さん(梅田選手)で見るようになってからは多少、僕たちのペースになってきたました。
 (体調はどうか?)試合に出ても出ていなくても常にいつでも出られる準備をしているので、その辺は問題ないです。また頑張りたいと思います。


■林 晃平 選手
 (交代前は)守備の面をしっかりということと、ゴールを狙って行けということを言われました。ウメとのコンビは練習中ではよくやってたし、僕が外に開いたらウメが中で仕事するっていうことで、そんなにコンビネーションも悪くなかったと思うし、今日は今日でよかったと思います。
 (後半36分のシュートについて)あれは決めないといけないですね。どフリーだったので。もうちょっと落ち着いて決めれればよかったんですけども。
 延長戦の前は相手がバテてた状態だったので、僕個人的には途中から入って時間も経ってなかったので、できれば一人で崩せるなら崩したいなと思ってたんですけど。結果 的に、延長前半の早い時間で決めれたっていうのはよかったと思います。
 次は大切な試合(大宮戦)だっていうのもあるし、この試合をいい形で追われれば、っていうのもあったんですけど、天皇杯はどうしても簡単には勝たしてくれないっていうのもあるので、逆転できてよかったです。

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