2004.4.24 J.LEAGUE DIVISION 2 第8節
モンテディオ山形 1-0 ヴァンフォーレ甲府
前半0-0 後半1-0
入場者数:4,343人
得点者:89'根本(山形)

 「敗戦の中にも大きな収穫があった」と語る甲府・松永監督。
 「勝てたことはよかったが、内容については不満足」と話す山形・鈴木監督。
 記者会見の両監督の言葉は、試合内容の良し悪しとこの日の勝敗が結びついていないことを物語った。
 4−4−2の甲府は中盤をコンパクトに保ち、モンテディオの3バックにはさほどのプレスを掛けず、そこからサイドにボールを振った途端に早いプレッシャーを掛ける。また、ロングボールが飛んでもそのこぼれ球を確実に拾うなど、前半から優位に試合を運んだ。
 甲府はラインを保ちながらプレーするが、2トップのバロンと藤田が入れ替わり立ち替わり中盤まで下りてきてボールをさばき、モンテディオはそのマークに神経をすり減らす展開。しかし、至近距離から打たれたシュートをGK桜井が2本防ぐなど、前半を失点0で乗り切った。
 モンテディオは39分に右でボールを受けたデーニが即座にラインの裏へボールを流し込み、走り込んだ迫井にパスが通る。しかし、そこから迫井がさらに左へ出したパスには誰も走り込んでいなかった。
 また、44分の右コーナーキックではニアサイドで小林がヘディング。ファーポスト方向へ飛んでいくが、甲府が必死に防ぎ、惜しくもゴールラインは割らなかった。
 後半、中盤両サイドのポジションチェンジで、さらに積極的に攻め込もうとする甲府を、モンテディオも必死に防ぐ。両チームとも、後半32分までに3枚のカードを切り、ロングボールを放り込む展開になるかと思われたが、それ以上に中盤のクロスを阻止しようという攻防が激しく行なわれていた。
 ロスタイムに入り、中央の縦パス1本で甲府・石原がフリーで抜け出す。急いで戻ってきたレオナルドと競りながらシュートを放ったが、前へ詰めていた桜井の上、バーを越えていった。
 この決定的なピンチをしのいだモンテディオはその直後、相手ディフェンダーがクリアしたボールを左サイドで受けた永井が中央へ向けてドリブル突破。ゴール正面まで来て縦にボールを蹴り出すと、そこで待ちかまえていた途中出場の根本が足元で受け、くるりと体を反転させて左足でシュート。ボールがゴール左に吸い込まれた直後に、試合終了のホイッスルが鳴った。

■桜井 繁選手
 (ディフェンダーは)マークはしっかり付いてたと思うんですけど、やっぱりバロンが強かったんで、付いていてもその上からくるって感じでした。前に出れるボールは出て、あとはセカンドボールとか、バロンがヘディングした後とかを常に注意して、意識してやりました。 みんな諦めないで勝つ気でやってたから、ああいう結果になったと思います。
 (ロスタイム、白尾と1対1になった場面は?)あそこは最後までしっかり見て、コースにしっかり入って、慌てないでボールをしっかり見てました。そうしたら相手も、コースがなければ考えて時間がかかると思ったので。その時にレオナルドがしっかりと戻ってきてくれたので、冷静に対応できたなと思います。
 (自身が出場してからの4連勝について)たまたまです。ディフェンスの人が本当によくやってくれているので、自分は本当にセービングとか何にもしてないし、仕事という仕事はしてないので、チームのみんなのお陰だと思います。しっかりディフェンスできて、慌てないで自分たちのやることができてるからだと思います。
  開幕から4試合サブだったことは、最初戸惑ったけど、でも、いつでも良いように練習していました。「自分がやっていることは間違っていない」と去年わかっていたので。
 4試合で1失点という結果は、FW含めて、全体の守備の意識が高いことが要因としてあります。これからの修正点は、キックの精度や取ってからのフィードをもっと早くすること。今日はFWがすぐ引いてつないでこなかったけど。それで、常に声を出してマークのフリーな奴つくんないように。これからも頑張ります。


■小林 久晃選手
 (バロン選手には)個人的にはやれなかったことはなかったし、手応えは感じています。右サイドから上げられたときに、(古川)毅さんがバロンを見る形があって、バロンが背が高い分、少し危なくなっちゃうので、そこをレオナルドがつかんでおけば決定的な場面は作られなかったという部分がありました。そこはもうちょっとしっかり連携してやっていきたいです。
 太田さんが試合中、「ちょっと4枚気味でやろう」と。僕がサイドに流されちゃうと真ん中に高い人がいなくなっちゃうので、それよりは太田さんが引いて星を右サイドにもっていく、という感じで自分たち自身でやっていたんで、右サイドは別に押し込まれていたわけではないです。
 (前半の惜しいヘディングシュートについて)セットプレーで点を決めてなかったんで、ほんと決めたかったんですけど、残念ですね。
 (キャプテンの仕事は?)別に、ただマーク付けただけで。いつも通り声出して、頑張っていこうという気持ちだけです。
 (後半、小倉選手が入った後のケアは?)小倉さんはトップに張るというよりはある程度中盤に下がってたんで、高さは特に気にしなくてもよかったんですけど、キックやパスがうまいので、スルーパスとかをケアするように注意していました。
 これまで数試合、そんなに決定的な場面はつくられていなかったけど、今日は入れられてもおかしくない場面が2、3度あったんで、修正すべき点かな、というところはあります。でも結果として0点に抑えられたというのは自信になるし、今後にもよくつながっていくと思います。


■太田雅之選手
 今日はどっちに転んでもおかしくないゲームで。前半は一方的にやられてたし。甲府は、藤田がマークに付きづらいところに動いてボールをもらうので、受け渡しとかの部分で厳しかったです。前半はうまくいかなかったです。
 (今日は前節より位置が低かった?)あまり上がり過ぎないで、バランスを取るような感じ。だから、あまり上がれなかった。前半はほんとにもう相手の完全なペースだったし、我慢するしかなかったです。今年は我慢するところで我慢できてる。意思統一ができてるからいいのかなあって気がするんですよ。耐えようよってところでみんな踏ん張れるっていうか。バランスを崩さないで、バランスを保って、悪いなりになるべくやられないように、引くとこは引いて、っていうように。「今苦しい時間帯だから我慢しようよ」っていうのをしゃべれてできてる。
 (この時点で暫定2位に上がったことについて)全然考えてない。まだまだ何試合残ってるんだ?って話だし。今日で終わりとか、次で終わりなら順位を意識するけど、これから3連敗、4連敗したらいくらでも下に落ちていくし、順位はあまり関係ないね。


■星 大輔選手
 今日は僕はあまり何もしてないんですけど、チームが勝ってよかったですね。基本的にはトップ下だったんですけど、相手のシステムだったり、人の関係で右にいることが前半は多かったんですけど、前半はそこでうまく相手に付かれてしまって、スペースがなくていい働きができなかったです。相手はラインが高くて、コンパクトに守ってたと思います。
 今日は全部が課題です。コンディションを落とさないように、食事だったり休養だったり、すぐ試合なので、勝ちましたけどすぐ気持ちを切り替えて、今日からまた準備していきたいと思います。


■古川 毅選手
 (バロン選手への対応は?)以前も対戦したことがあって、ヘディングの強さだったり得点感覚というのがあるし、ポストプレーというところも持っている選手だったんで、特にクロスの時に関しては、しっかり身体を寄せるということと、折り返しのボールに対して周りが立たないということは意識していましたけど。何回か危ない場面もありましたけど、なんとかキーパーの桜井を含めてしのげたかな、と思います。
 ここ4試合勝ち切れているということで、監督の采配、選手交代っていうのが、その選手交代によってチーム的にどういう姿勢、態勢に入るかというのが伝わってくるのと、1−0で勝っている試合に関してはもう逃げ切りで。4バックだったのを3バックにしたり、前節の川崎戦に関しても今日に関しても途中から中盤の選手を削っても3トップという形で得点を取りに行くんだという気持ちが伝わってきていたし、そういうところじゃないかなと思います。
 (3トップで中盤にスペースが空いたが?)そこはうまく、(高橋)健二さんなり(永井)篤志がバランスをとってこぼれ球を拾ってくれたりとかしてくれてたんで、その辺に関しては、相手も多少戻りきれない場面もあったと思うし、間延びすることはしょうがないことだったと思います。その中でもうまくバランスは保てていたと思います。
 去年は人を変えることでポジションが変わったりということがそんなになかったと思うし、4バックが3バックになることはあっても、3トップみたいな形になることは少なかったんで、システムが変わることによって相手も誰をつかんだらいいのかという点で難しい面が出てくると思います。そういうシステム変更であったり選手の入れ替えのところで、うまく相手を攪乱できているというか、つかみ切らせないような感じになっているんじゃないですか。
 (ベンチがとても喜んでいたが?)去年はこういう劇的な勝ち方っていうのが少なかったんですけど、川崎戦も今日も劇的な勝利でしたんで、それがそういう形に現れたんじゃないかなと思います。


■高橋健二選手
 よく勝ったなあ。まあ勢い、かな?これが。そんな感じでね、こういう流れを大事にしとけば。
 相手もすごい真面目でまとまってて、頑張ってくるチームだから、それに対してうちもしっかり守備から入ってやってたんだけども、全体的に動きの質が悪かったかな?と思ったけど、それでも勝てたっていうのはデカいです。
 (川崎選手投入後、ボランチの位置に移って気をつけたことは?)とりあえずバランスだけ見て、失点をしないことだけ考えました。疲れてあまり効果的な働きはできなかったけど、まあ、よく頑張って守ったかなと思います。


■迫井深也選手
 チーム状態としては、みんな疲労もあって疲れていたと思うんですけれども、自分の中では、前半の悪い時間帯から自分なりに考えて相手のボランチを抑えようと思っていたので、そこから状況が変わりつつあったと思うので、自分なりにはまあぼちぼちといったところです。
 まだ監督の信頼を得てないというのが課題というか、何て言うんですかね、もうちょっとボールに絡んで攻撃面できればいいかなと思います。意識的には上がるようにはしてたんですけど、もうちょっとビルドアップの段階で顔を出して、相手の目先を変えることができたらなと思いました。攻撃の面でもそうですが、守備の面でももうちょっと潰したいし。もちろん、そういう役目を与えられている上で、相手の10番とボランチをケアしていったけど、最初はやっぱり下がっちゃいましたからね。潰してマイボールにしたかったな、というのがあります。


■大島秀夫選手
 なかなか厳しい時間帯が続いて、難しい試合でした。最後にああいう形でワンチャンスで決めれたので、今のチームの勢いを物語ってるかなっという感じですかね。
 今日はさすがに全体的に動きもよくなかったし、でも、相手も同じ条件でやるわけだから、その中で、僕たちのやれることをやっていけば、勝っていけるのではないかと思います。
 (前半は相手選手と激しくぶつかる場面が多かったが?)ポジション的に狙われるところなので、それに負けないぐらいの気持ちで頑張ります。
 (デーニ選手との連携について)あいつは結構、自分のやりたいことをやるような感じだから、それにうまく合わせて、僕がいいところを引き出したりしていけたらなと思います。
 この2日間でまたいいコンディションに戻せるように、全力で心掛けたいと思います。


■川崎健太郎選手
 最後まで諦めないという気持ちがあったので勝てたと思います。
 (投入後、左からの攻撃の形が作れてきたように思うが?)そうですね、監督も守りのために入れてるんじゃないと思うし、どんどんクロスを上げて、ゴールに近いプレーをしろと言われたんで、そういう面ではいいプレーができたと思います。ちょっとメンバー外れてたし、ここでいい動きをしないとまた次もメンバー入れるかわかんないので、自分のプレーをどんどんアピールしていこうと思いました。
 (今日のポジションは左サイドバックと較べて)攻撃もゴールに近い位置でできるので。けど、スペースがある分、攻めたらすぐに守備しないとダメだし、その面では4−4−2より自分の役割的にはしんどいですよね、きつくなってくる。動く量が多くなると思うけど、3−5−2の方が攻撃もどんどんできるし、スペースも前にあるので、こっちの方がやりやすいです。
 守備の面では、点を取りにいかないといけない場面だったけど、点を取られたら意味ないんで、その辺は守備からしっかりしていけという指示が監督からあったので、基本的には守備をしっかりして。で、根本君と(林)晃平さんとか大島さんとか、ヘディングの強い選手がいっぱいいるんで、どんどん遠くからでもクロスを上げていけという指示がありました。キックが持ち味なんで、そういう面で監督も使ってくれたと思います。
 一人一人が最後まで諦めないという気持ちと、サブの選手もメンバーに入っていない選手もみんな練習で一生懸命やってるんで、次、自分が出れるかわかんないという危機感をみんな持ってると思うので、選手層が厚くなったっていうか。そういう意識をしっかりみんなが一人一人持っているから、こういういい結果が出ていると思います。頑張ります。


■林 晃平選手
 相手が引いて守っている中で、途中交代で難しいんですけれども、自分が流れを変えれるように走り回って、もっと裏に裏に行けるように今日は心がけていました。交代時、監督から、裏のスペースで受けろという指示がありましたし。チームとしては4連勝だけど、自分としては今日はあまり満足していないです。チャンスを作れるところもあったし、ミスもあったので。

■根本亮助選手
 「自分が出たら流れを変えよう」という思いでアップしながら見ていた。おーさん(大島)と(林)晃平のところへ3トップに入るように監督から指示されました。ロスタイムでの極めつけのゴールを決めることができて、最高の気分です。永井さんのドリブルから縦パスだったんですが、感覚的に「来るな」っていうのがわかりました。「来るとしたらここか、あそこか」っていうように、もうひとつふたつ来そうな別のところには他の人がいたんで。シュートは左足で、“どフリー”だったから空いているところに流しました。フリーだっていうのははっきりわかりました。その場面、冷静でしたね。
 ピッチに入った時は、とりあえず相手が疲れている時なので運動量を増やして、サイドから裏を突いていこうと思いました。ロスタイムだっていうのは電光掲示板の数字が点っていなかったので、そこでわかっていたけど、最後まで「(ノーゴールで)終りかな?」とかは思いませんでした。憶えているのはベンチで抱きついていたところだけです。
 調子はいいです、得点出来てるから。スタメンから出ろと監督に言われれば出る準備はできてます。でも、今の僕の仕事は「流れを変えること」だから。痛み止めは飲んでます。今日も試合のアップ前に。痛みがないと言えば嘘だけど、でも、大丈夫です。
 チーム好調の理由はみんなが最後まで諦めないことと、バランスがよく、それを崩さないから失点しないことだと思います。バランスを保っているのは、みんなで声を出しているから。サクが中盤に、中盤が前線に声を掛けて、危ないところをそれぞれ教え合えたから。
 次からもチャンスが来れば得点狙っていきます。


■永井篤志選手
 全体的に、動きが鈍かったっていうか、重かった、みんなそうなんですけど。それで、リズムがおかしかったかなと思いましたけど、なんとか耐えて耐えて、最後1点が取れてよかったです。
 (決勝点のアシストはシュート? パス?)いや、シュートみたいなパスみたいな。パスって言っときましょう。「うちのユニホーム着てるのが何人かいるな」って感じで、「これがラストだ」って思ったのがネモに行って。左サイドでボールを持った時、前が空いてたので、クロス上げようかなあと思ってたけど、ガチガチ中に(相手選手が)いたので、「今クロス上げてもどうしようもねえなあ」と思って。そうしたら、相手2人が来てたので、「ドリブルで抜くしかない」と思って、それで自然に。中へ中へ、シュートを打つつもりで横に行ったんだね。「シュート打つんだ」っていうふうに相手を引っかけて、味方も引っかかったような(笑)。
 自分自身、調子がよくなかったんで、「体が重いなあ」って思いながらやってたんですけど、最後の最後でいい結果 が出てよかったです。内容は今シーズン一番悪かったね。でも勝てたのは“ツキ”。チームの勢いがあるから。3年前の好調な時と似ています。今日は相手のボランチから思うようにやられたから、次からは中盤のボールの出どころにプレッシャーをかけていかないとね。

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