2004.3.20 J.LEAGUE DIVISION 2 第1節
モンテディオ山形 1-1 アビスパ福岡
前半0-0 後半1-1
入場者数:12,881人
得点者:51'平島(福岡)、66'中村(山形)

 試合終了のホイッスルの後、左腕にキャプテンマークを巻いた高橋健二は、選手一人ひとりを握手で迎えた。その際、空いている左手で背中や頭をポンと叩く。攻撃力のある福岡を粘り強く1点に抑え、その1点を追いついて勝ち点1を得た選手たちをねぎらった。
 前半、モンテディオは失点を防ぐためにやや守備的な意識でゲームに臨み、福岡にサイドから再三いいクロスを上げられながらもゴール前でしっかりと防ぎ、シュートを2本だけに抑えた。
 逆に攻撃面では短くつなぐパス、ディフェンスの裏を狙ったロングパスがともに通 らず、ゴール前まで攻め込む場面がほとんど見られず、高橋健二がキーパーの正面 を突いたのが、前半唯一のシュートだった。
 後半に入り、ボランチの迫井に代えて大塚を入れたことで攻撃の起点ができ、リズムが出来かけたが、福岡もサイド攻撃をバージョンアップしてくる。  後半6分、福岡の左サイドのスローインからサイドチェンジでガラ空きの右サイドへ。それを受けてノーマークで上がってくる右SB平島についたのは秋葉。秋葉は、それまで付いていた林のマークを小林に渡した後に平島のもとに向かったが、平島の正面 にたどり着いたところで、今度は中に切り込まれる。左足で放つシュートはゴール左に突き刺さり、福岡先制。
 しかし後半20分、モンテディオのコーナーキックの際、ゴール前で秋葉の首の辺りに肘を入れた蔵田のプレーがファウルの判定となり、PK。これを中村幸聖が落ち着いて決め、同点に追いついた。
 この試合は、GK阿江がJリーグ公式戦で初めてピッチに立ち、落ち着いたプレーを披露。また、怪我からの復帰をめざしていた大塚、星が大事な試合でともにそつのないプレーで復帰の目処が立つなど、明るい材料の多い試合だった。


■阿江孝一選手
 (Jリーグ公式戦初出場で)自分はまだまだですけど。もうちょっと余裕を持ってできればもっとよかったかです。前半は雰囲気で結構声が通 らなかったので、的確なコーチングがもう少しできてたらよかったかなと思います。(失点の場面 は)シュートの準備はしてたんですけど、(大塚)真司さんもマークにつられて外(右サイド)につきに行って、できればあそこに一人マークが欲しかったですけど、相手の動きで引き出されて、テル(小林)と(古川)毅さんの間に前向きでいい形になりました。自分もコースは消してたんですけど、さらに上にシュートを打たれました。ただ、自分の中で切り替えはすぐできましたから、あのシーンでは。(福岡はサイドからいいクロスが上がっていたが?)それに関しては練習してたので、そこは自信を持って。(ベンチーニョの長いシュートによる揺さぶりも)ある程度は予想してたんですけど、思った以上に風に乗って。前半は向かい風だったので、何本か狙ってくるだろうなとは思ってたんですけど、あの1本でリラックスできました。(緊張は?)少し堅さはありました。(昨日の夜は?)それはもう、小学校の遠足じゃないですけど(笑)、「早く試合来ないかな」って、自分でも可笑しくなって。寝室の廊下の所にスパイクなんか並べちゃって(笑)。まあ、楽しめたので、よかったと思います。 結構苦しい時間帯もあったんですけど、みんなが体を張ってシュートを未然に防いでくれたので、チーム一丸となって、大きい「勝ち点1」が取れたと思います。これでホームに帰って勝ちを狙いに行けるので、最低限のことはできたと思います。まだ43試合あるし、ここからが本当の勝負だと思うので、一歩ずつ前へ進みたいと思います。(自信につながったか?)毎回同じようにやって来た準備が、ようやく実戦の中である程度できたので、過信するほどじゃないですけど、少しずつは。 クロスは絶対負けないっていう自信があるので、次からも積極的に出て、そうすることでディフェンスがもっと楽になると思います。
  (練習前にワインは開けたんですか?)いや、今日帰ってからです。ホームで勝ってから、もう1回開けたいと思います。そしてまた新しいのを買って、44本開けれるように。そこを目標で。飲みすぎないようにします(笑)。


■古川 毅選手
  90分、集中できたと言えば簡単だけど、ずっと高いレベルで集中力を保てたし、お互いのコミュニケーションも取れてたので。あの(失点の)一発はしようがないです。1点はどんな試合でも、事故というか、そういうのもあったりするので、それ以外のところで、ほとんどパーフェクトに近いような形でできたので、守備のところでは非常に満足できるというか、ほんと今後、戦っていける自信が持てた感じですね。

■小林久晃選手
 開幕戦でアウェイってことなので、勝ち点1を取れたってことはとりあえずよかったと思ってます。もちろん、勝つに越したことはないんですけど、1失点したんですけど、失点をしないということがまず第一で、相手はホームだし、どんどん攻めてくると思ったので、カウンターなんかで点が取れればいいなあ、と。途中まではそれができてたので、よかったと思います。 今日は我慢して3ライン保ってやってく戦い方だったので、そのやり方だったら0で抑えなきゃいけないと思います。相手のシュートもよかったんですけど、あそこでディフェンス足りてたんですけどズルズル下がっちゃって、カバーリング遅れちゃったんで、怖がらないで、人数がそろってたらラインを保って、次はカバーリングとかちゃんとしていきたいと思います。 福岡はボールつなぎはそれほどうまくないんですけど、前線に高くて強い人がいるので、一番怖かったのはサイドからいいボールで折り返してくることだったのですけど、2本くらいそういう場面 をつくらせちゃったので、起点となる人をしっかり離さずマークしなきゃいけないなと感じました。 今日は相手のボールをあまり跳ね返せなかったです。タイミングも合ってなかったし、相手も大きかったので、それになんとか競り合って楽にしたかったんですけど、そこから2、3本ヘディングで後ろに流されて危ない場面 もあったので。あそこで跳ね返すというのが仕事なので、しっかり徹底してやっていきたいです。(PKを得た場面 は)僕のマーク(蔵田選手)を(秋葉)勝に「抑えててくれ」って言ってたので、そこで何かあったんじゃないかなと。僕じゃないんですよね、多分。
  (ベンチーニョ選手についてボランチとのマークの受け渡しについては?)今日はベンチーニョはそこまで下がってなかったので、前半に1回フリーにさせたぐらいで、あとはそこそこ…。(川崎)健太郎もがんばってヘディングも競ってくれました。

■太田雅之選手
  狙い通り。守備的に、という狙いは間違いなくあったから、守備をしっかりして攻撃につなげていこうっていうのは狙い通 りでした。 監督からの指示は特には…。まあ、思いっきり上がっていけ、その変わり、上がっていったらしっかり戻ってこい、と。変にいろいろ考えると思い切りやれないので、そういう意味では、気持ち的に楽でした。 1点取られて追いつけたっていうことが、評価できるというかよかったんじゃないかな、と。前だったら変に攻めに行って自分たちで崩れるパターンだったんですけど、それを回避してしっかり我慢して1点返したっていうのはよかったんじゃないかなと思います。慌てることなく1点返したっていうのは大きいですね。 開幕のプレッシャーはありました。開幕の第1戦でつまづくと大きいですから。去年、一昨年と最初負けて、1年間つまづいたイメージがあったから、やっぱり最初だけは絶対負けたくない。最初に負けなければいいスタートが切れる、という気持ちはみんなあると思うんです。追いつき方もよかったですから。

■川崎健太郎選手
  勝ちたかったですけど、最低引き分けでよかったです。守備で点を取られないという戦術だったので、あの(失点の)1点は仕方がないというか、セットプレーの後だから修正できると思うし、崩されてないので全然問題ないです。自分としても修正するところはいっぱいありますけど、開幕初戦にしてはよかったんじゃないですか? 開幕戦のプレッシャーはそんなにないです。もうちょっと攻撃的に行きたかったんですけど、監督の戦術は点を取られないことだったので、上がろうとしたら(古川)毅さんとテル(小林)さんに抑えられて(笑)。まあ、負けなかったことが大事じゃないかなあと思います。

■迫井深也選手
  (前半45分間での交代に)正直不本意です。守備的な役割としてはベンチーニョを意識してやってたつもりで、攻められてはいたけど、危ない場面 は自分的にはベンチーニョに仕事をさせたつもりはなかったですけど、前(の選手)との絡みも少なかったし、その結果 が交代っていう形になったと思います。チームの結果としては満足してますけど、個人の結果 としては不満、不本意でした。 ベンチーニョのマークは僕とセンターバックのところでコミュニケーションを取りながら存在を消していこうっていうことで。相手も長いボールが多くなったので、自分なりにケアはできたと思います。
  (攻撃面でよくなかった要因は相手のプレスがきつかったから?)いや、単なる僕のミスっていうのもあるし。僕が低くなることでチーム全体が低くなるというのももちろんあるので、前に出る距離も長くなっちゃうので、もうちょっと高い位 置でプレーできればな、と思います。
  (開幕はどんな気持ちで迎えたか?)これから1シーズン戦う上で、自分自身にもいいプレッシャーを掛けてたし、新しいシーズンのスタートがこの公式戦で始まるというのはワクワクしましたけど…。まあ、自分としては不本意でした。


■大塚真司選手
  もちろん勝ちたかったですけれども、負けなかったってことは収穫だったと思います。でも1点取られて、そこで乱れることなくしっかり追いつけたということはチーム全体の自信にもなると思います。後半はいい時間帯もあったと思うし、チャンスも多くつくれてたので、前向きにとらえていい試合だったと思います。 (監督からの指示は?)前に飛び出していってチームに動きがでるように、僕が飛び出した時は(永井)篤志さんがバランスを取る、篤志さんが行った時は僕がバランスを取るっていうことで、監督に言われた通 り、少しはチームに動きが出るようにはできたかなとは思います。後半になって、みんなが高い集中力を保って戦えた、まあ失点は残念ですけども、それは修正できるプレーだったと思うので、今後につなげたいです。 自分自身、今日朝起きた時にいいコンディションだって確認できたし、怪我してたんですけど、やることはやってきてたので、(プロになって)もう何年も経ちますから、開幕のプレッシャーっていうのは…。まあ、この気持ちいい天気といいスタジアムを楽しんでやろうということで、いい緊張感を持ちながらリラックスしてできたと思います。 (怪我は完治ということですか?)はい、そうですね。

■高橋健二選手
  よくやったと思います。アウェイだし、勝つのが一番いいんだろうけど、追いついて引き分けになったし。最後まで諦めないとか、勝つに越したことはないんだけど、悪くはないなと思います。前半は相手のプレッシャーも早かったから、それに戸惑った部分はあったけど、後半に点を取られてから、結構いい感じでリズムをつくれたから、そこは評価してもいいかなと思います。あと、ディフェンスも最後まで体張って守ってたから、評価していいところだと思います。(前半、裏へのロングボールが多かったのは?)立ち上がりはペースをつかむ上でパスを長くやろうとは思ったんだけど、それに偏りすぎて。もうちよっとつないでもよかったかなあと思います。(ディフェンス面 でチームとして注意したことは?)粘り強くやること。相手はポジショニングが高いし、そこの1対1で負けないことが基本で、全員が守備の意識を持ってやっていれば、そんなに崩されることはないですから。
  (今シーズンの開幕をどんな気持ちで迎えましたか?)毎年一緒で、同じ気持ちでやってますよ。開幕だからとかじゃなくて、1試合1試合、集中して100%の力を出せるように、という感じです。


■秋葉 勝選手
  最初に失点したので、追いついてよかったと思います。(開幕スタメンについて)プレッシャーは特になかったです。シーズンを通 して出られればいいかなと思います。(PKのシーンは?)たぶん、僕が喰らったんですよ。ゴール前でごちゃごちゃってなって、ブロックしようとしたら相手の肘が僕の首の辺りに入った感じですかね。

■星 大輔選手
  先制されてから追いついての引き分けだったので、勝つに越したことはないんですけど、負けなかったのが一番よかったと思います。(肩の状態は)ケアしながらなんですけど、全然大丈夫です。 点差関係なく、中に入ったら結果を出してやろうという気持ちで入りました。(監督からは)前でどんどんプレーしろと指示をうけて。あの時間帯で、結構スペースも空いてたので、どんどん裏を狙っていこうかなと思いました。同点に追いついた直後に入ったので、波に乗って2点、3点といきたかったんですけど、点に絡めなかったことは残念でした。でも、試合に出れたっていうことが一番大きな収穫だったと思います。

■中村幸聖選手
  チームの力を考えれば勝ち点3は取れると思ったんですけど、1でも悪くはないという感じだと思います。PKのキッカーは決まってなくて、「誰が行こうか?」みたいな感じになっていたので、「じゃあ、俺が」って言って蹴りました。あそこで決めなきゃ負けだな、とは思いましたけど、決めることができて…。その決めたことによって、もう1点取る可能性が非常に大きかったので、その勢いを持っていきたかったんですけど、ただ、ここはアウェイで、相手も好調の福岡、ということも考えれば悪くはないという。 ただ、今日の勝ち点1も、次の試合で勝たなければ「残念な勝ち点1」になってしまうので、次のホームでは絶対に勝ち点3を取りたいです。
  (シーズン初得点の感想は?)この試合で1点取るということが自分の目標でしたので、開幕までに、「まずピッチに立つ」ということを今年のシーズンの最初の目標にしてきて、やはりプロとしては出るだけでなく結果 を残していかなければならないということで、この試合で結果を出すことを目標にしてましたので、それはまあ、よかったかなという感じではありますけど、ただ別 に、だからと言って自分のプレーがよかったとは思いませんし、シュートを打っていかなければならない場面 もたくさんあったし、(パスが)合わない場面もありましたし、そこはまだまだ、チームとして常に80%以上の出来を求めていかなければならないと思います。

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